結論
証人欄に記入するのは、署名、生年月日、住所、本籍の4項目です。証人になっても金銭的な責任は生じません。一方で、本籍や住所を相手に知られることにはなります。引き受けるかどうかは、この2点を分けて考えると判断しやすくなります。

証人欄に書くのは、この4項目
婚姻届でも協議離婚の届書でも、証人欄に記入するのは、署名、生年月日、住所、本籍です。押印は令和3年9月1日から任意になっているため、はんこの用意が必須というわけではありません。婚姻届でも協議離婚の届書でも、証人欄に求められる項目はこの4つで共通しています。
書く量としてはこれだけです。職業や勤務先を書く欄はなく、当事者との関係を説明する欄もありません。相手の事情を聞き取って記入する欄もありません。頼まれた側が引き受けるものは、この4項目を正確に書くこと以上には広がらない、というのが出発点になります。
- 署名(ご自身の手で書く)
- 生年月日
- 住所
- 本籍
本籍を知られることになる、という現実
実際に引っかかるのはここだと思います。本籍は、現住所とは別に持っている情報で、日ごろ人に伝えるものではありません。証人欄に書けば、その届書を見る人には当然分かります。頼まれた側がためらう理由として、これが一番多いはずです。金銭の話より、こちらのほうが現実的な負担です。
自分の本籍が分からない、という方も多くいます。戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)や、本籍の記載を選んだ住民票の写しで確認できます。取得の方法や手数料は市区町村ごとに案内が異なるため、お住まいの市区町村の案内をご確認ください。引き受けると決めたら、先に調べておくと当日あわてずに済みます。
ゆき
証人になるのは構わないのですが、本籍を書くと聞いて手が止まりました。相手のご家族にも見られるのかな、と思うと少し。
たすけ
引っかかる方が一番多いのがそこです。書く項目自体は4つですが、本籍は普段人に見せない情報ですから。
届書は提出まで当事者が持っていますし、窓口に出したあとは市区町村が管理します。誰がどの範囲で見るかは、提出先の取扱いによります。
ゆき
そこは断定できないのですね。
たすけ
できません。個別の取扱いは提出先の市区町村にご確認ください。あいまいなまま安心してくださいとは言いたくないので。
届書は、誰の目に触れるのか
本籍を書くことに抵抗があるとき、次に気になるのは、その届書を誰が見るのかという点だと思います。ここは正直に線を引きます。提出前の届書は当事者が持っていますから、少なくとも届出をするお二人の目には触れます。同居のご家族が目にする可能性も、否定はできません。
窓口に提出された後の取扱いについては、市区町村の運用や制度上の手続によって変わります。ここで一律にこうなりますと書くことはできません。気になる場合は、提出先の市区町村にご確認ください。分からない部分を分かった形で説明されるより、確認先がはっきりしているほうが判断できると考えています。
ゆき
相手のご両親が届書を見ることはありますか。私の本籍まで知られるのは、正直に言うと避けたいです。
たすけ
避けたいと思うのは自然です。提出前の届書は当事者の手元にありますから、ご家族が目にする可能性は否定できません。
窓口に出したあとの取扱いは提出先の運用によります。私からこうなりますと断定することはできません。
ゆき
はっきりしないままだと、決められない気もします。
たすけ
決めかねたままで構いません。断定できないことを断定してお伝えするより、確認できる先をお示しするほうが確実です。提出先の市区町村にお問い合わせください。
金銭的な責任は生じません
証人欄は、保証人欄ではありません。借金の連帯保証をする欄でもなければ、養育費や慰謝料の支払を約束する欄でもありません。届書は身分関係の届出を受け付けるための書類で、債務を発生させる契約書ではないからです。同じ署名という言葉でも、契約書に署名する場合とは意味が異なります。
そのため、後日その二人の間でお金の争いが起きても、証人であることを理由に請求される仕組みにはなっていません。この点を知らないまま断ってしまう方が多いので、頼む側から先に伝えておくと話がこじれにくくなります。実際、伝えたら引き受けてもらえた、という例も珍しくありません。
ゆき
離婚届の証人を頼まれています。後々もめたときに、証人だからと巻き込まれることはありませんか。
たすけ
そこを心配される方はとても多いです。証人欄は、離婚の条件を承認する欄ではありません。
財産分与や養育費の取り決めは当事者の間の問題で、証人が肩代わりする仕組みにはなっていません。
ゆき
争いごとになったときに、呼ばれたりはしませんか。
たすけ
個別の紛争でどうなるかまでは断定できません。ただ、証人欄に署名したこと自体が、支払の責任を生む根拠になるわけではありません。
注意すべき線は、届出の中身が本当かどうか
証人として本当に気をつけるべき点は一つです。届出の内容が事実であること、そして署名をご自身の手で書くことです。法務省の案内では、虚偽の届出について、電磁的公正証書原本不実記載罪(刑法第157条第1項)と虚偽届出罪(戸籍法第134条)が挙げられています。
当事者に届出の意思がある通常の場面であれば、この点が問題になることはありません。逆に、話を聞いて違和感が残るのであれば、引き受けないという判断も十分に筋が通ります。証人は当事者の関係を保証する立場ではないので、無理に引き受ける必要はありません。
断りたいときの伝え方
断る理由を細かく説明する必要はありません。本籍を書くことに抵抗がある、という理由はそのまま伝えて差し支えありません。実際、証人欄に本籍が必要だと知らずに頼んでいる方も多く、伝えれば納得されることがほとんどです。負担をかけるつもりはなかった、という反応が返ってくることもあります。
どうしても言いにくい場合は、証人を代行している事務所があることを併せて伝えると、断ることが相手の行き止まりになりません。断りと代案をセットにできるだけで、切り出しやすさは変わります。相手が次に動ける先を示せると、断ること自体の重さも変わります。
ゆき
断りたいのですが、関係が悪くなるのが怖くて言い出せません。相手はもう、私が引き受ける前提で話しています。
たすけ
言い出しにくいのは当然です。断る理由を細かく話さなければならない決まりはありません。
本籍を書くことに抵抗がある、と伝えるだけでも通じます。
ゆき
相手が困ってしまうのも申し訳なくて。
たすけ
証人を代行している事務所がある、と併せて伝える方法もあります。断りが相手の行き止まりにならないと分かれば、切り出しやすくなると思います。
頼む側が、この記事を読んだ場合に
頼まれた側には、これだけの検討事項があります。本籍を書くこと、住所を知られること、そして断りにくさ。引き受けてくれた相手は、それを飲み込んだうえで名前を書いてくれています。頼む側がその負担を知っているかどうかで、お礼の言葉も、その後の関係の残り方も変わってきます。
頼める人がいない場合や、相手に負担をかけたくない場合には、第三者に依頼するという方法があります。当事務所は浜松市中央区上新屋町の事務所での対面のみ、完全予約制で、料金は通常8,800円、急ぎ対応17,600円、証人1名分でも2名分でも同額です。
ゆき
頼む側です。友人に断られてしまって、正直なところ少し落ち込んでいました。
たすけ
断られると、自分が拒まれたように感じますよね。ただ、証人欄には本籍を書きます。相手側の事情で断ることは珍しくありません。
あなたが拒まれたとは限らない、という見方もできます。
ゆき
もう一度頼み直すのは、しつこいでしょうか。
たすけ
相手の負担が理由なら、頼み直すより別の方法を探すほうが関係は保てます。第三者に依頼するという選択肢も、その一つです。
来所前のチェック
- 証人欄の4項目(署名・生年月日・住所・本籍)を確認する
- ご自身の本籍を確認しておく
- 届出の種類と必要な証人の人数を、頼む側に確認する
- 引き受けない場合の伝え方を決めておく
よくある質問
証人になると、どんな責任を負いますか?
金銭的な責任は生じません。証人欄は保証人欄ではなく、借金や養育費を肩代わりする仕組みにはなっていません。注意すべきなのは、届出の内容が事実であることと、ご自身で署名することです。
証人欄には何を書きますか?
署名、生年月日、住所、本籍の4項目です。押印は令和3年9月1日から任意になっています。
本籍を書きたくないのですが、省略できますか?
証人欄の記入項目は届書に定められています。省略できるかどうかの個別の判断は提出先の市区町村にご確認ください。書きたくない場合は、引き受けないという選択もできます。
離婚が後にもめたとき、証人が巻き込まれますか?
証人欄に署名したことが支払の責任を生む根拠になるわけではありません。個別の紛争の見通しまでは断定できませんが、証人が離婚の条件を保証する立場ではない点は、制度上はっきりしています。
頼まれましたが、断ってもよいのでしょうか。
断って差し支えありません。理由を細かく説明する必要もありません。証人代行を行っている事務所があることを併せて伝えると、相手の行き止まりになりません。


