結論
証人欄は、証人ご本人が署名する欄です。他人の名前を代わりに書くことは届出の真正を損なう行為で、虚偽の届出には刑事罰の定めがあります。頼める人がいないときは、第三者に証人を依頼するという方法が残っています。

その考えが浮かぶこと自体は、責められません
提出したい日が決まっていて、証人欄だけが埋まらない。親には言えない、友人には重い話になる、職場の人には知られたくない。そういう状況で、自分で書けば済むのではないかという考えが浮かぶのは、追い込まれた末の自然な発想だと思います。同じことを考えて検索している方は、決して少なくありません。
ですので、この記事はその考えを責めるために書いていません。ただ、実行する前に知っておいたほうがよい事実がいくつかあります。知らないまま進んで、後から取り返しがつかなくなる形だけは避けていただきたいからです。読み終えたときに、取れる方法が一つ増えている状態を目指しています。
ゆき
正直に言うと、証人欄を自分で書いてしまおうかと考えました。名前を借りる相手のあてもなくて、提出日は決まっていて。
たすけ
そこまで追い込まれる方は少なくありません。まず、そう考えたこと自体を責めるつもりはありません。
ただ、書いてしまう前に知っておいてほしいことがあります。順番にお話しします。
ゆき
怒られる覚悟はしていました。
たすけ
怒っても状況は変わりませんから。事実を並べたうえで、他に取れる方法までお伝えします。
証人欄は、証人本人が署名する欄です
婚姻届書には届出人と成年2名の証人による署名が必要、協議離婚の届書には届出人と成人2名の証人による署名が必要、と案内されています。ここでいう署名は、その人自身が名前を書くことを指します。押印が任意になった現在、届書の真正さを支えている中心は署名のほうです。
他人の名前を無断で書くと、実際には関与していない人が関与したことになります。これは届出の内容が事実と違う状態を作る行為で、届書そのものの信頼を損ないます。頼める相手がいるかどうかとは切り離して考える必要がある部分で、事情によって動く前提ではありません。
ゆき
押印は任意になったと聞きました。それなら署名もそこまで厳密ではないのでは、と思ってしまって。
たすけ
流れとしてはむしろ逆です。押印が任意になった分、署名が担う役割は以前より大きくなりました。
届書に必要とされているのは、成年2名の証人による署名のほうです。
ゆき
筆跡が似ていれば分からないのでは、とも考えました。
たすけ
分かるかどうかの話にしてしまうと、判断を運に預けることになります。次の項で、制度としてどう作られているかをお話しします。
- 証人欄に書くのは、その人自身の署名
- 署名は、代わりに書いてもらえる性質のものではない
- 押印は任意になったが、署名は求められている
虚偽の届出には、刑事罰の定めがあります
法務省の案内には、虚偽の届出をした場合の罰則として、電磁的公正証書原本不実記載罪(刑法第157条第1項)と虚偽届出罪(戸籍法第134条)が挙げられています。ここはぼかさずにお伝えする必要がある部分です。罰則があることを知らないまま進んでしまうほうが、結果として重い事態を招きます。
これは脅すために置かれている定めではありません。届出の内容が事実と違えば、戸籍という公の記録が事実と違うものになります。そこを守るために罰則が用意されている、という制度の作りです。加えて、虚偽の届出があった場合には、戸籍法第113条から第117条の訂正手続の対象になります。
ゆき
罰則があると言われると、やっぱり怖いです。
たすけ
怖がらせたいのではありません。ただ、この点だけは正確にお伝えしないと、判断の材料になりませんので。
戸籍は、あとから多くの手続の前提になる記録です。事実と違う記載が残ると、直す作業のほうが重くなります。
ゆき
直せるものなのですか。
たすけ
戸籍法に訂正の手続が定められています。ただ、最初から正しく届け出るほうが、負担は比べものにならないほど軽いです。
バレるのか、という問いへの答え
この言葉で検索してたどり着く方が知りたいのは、たいてい発覚するかどうかだと思います。答えとしては、発覚するかどうかを運の問題にしない仕組みが制度として用意されている、というのが正確です。見つかりますよ、という言い方はしません。制度がこう作られている、という事実を置きます。
婚姻、協議離婚、養子縁組、養子離縁、認知の5つの届出では、窓口に来た人の本人確認を行うことが法律上のルールになっています。確認ができなかった届出人には、受理した旨が住所地あてに通知等の方法で知らされます。さらに、あらかじめ本人以外からの届出を受理しないよう申し出ておく不受理申出(戸籍法第27条の2第3項)もあります。
ゆき
名前を借りる相手に、口頭で承諾をもらっていれば代筆してもいいのでしょうか。
たすけ
よく出る質問です。ただ、証人欄で求められているのは証人本人の署名です。承諾があっても、書くのはご本人という前提は変わりません。
個別の取扱いについては提出先の市区町村にご確認ください。ここで大丈夫ですと申し上げることはできません。
ゆき
本人が遠方にいて、来られない場合でもですか。
たすけ
距離の事情があっても、署名を他人が代わりに書いてよいという説明はされていません。頼める相手が来られないのであれば、別の相手を探すか、第三者に依頼するほうが確実です。
制度は、疑うためではなく守るために作られています
本人確認や不受理申出は、誰かを捕まえるために置かれている仕組みではありません。意思のない届出をされてしまう人を守るための仕組みです。本人の知らないところで婚姻届や離婚届が出される事態を防ぐ、という目的が先にあります。守られる側に立って読むと、仕組みの意味が分かりやすくなります。
つまり、代筆が発覚するかどうかという問いに対して、制度の側は発覚させることを目的にしていません。結果として、事実と違う届出は表に出やすい設計になっている、という順序です。見つかるかどうかを気にし続けるより、正しく届け出られる形を探すほうが、結果として早く片づきます。
証人が見つからないときの、正規の道
証人は、当事者の親族や友人でなければならない、という決まりがあるわけではありません。届書に求められているのは成年2名の署名であり、頼む相手を身近な人に限る必要はありません。そこで、第三者に証人を依頼するという選択肢が出てきます。代筆と違い、署名するのは依頼を受けた本人です。
当事務所は、婚姻届・離婚届・養子縁組届の証人代行を、浜松市中央区上新屋町の事務所での対面のみ、完全予約制で行っています。料金は通常8,800円、急ぎ対応17,600円で、証人1名分でも2名分でも同額です。ご予約はLINEで承っています。
ゆき
知らない人に頼むというのは、考えたことがありませんでした。事情を全部話さないといけないのでしょうか。
たすけ
話したくないことを話す必要はありません。確認するのは、届出の種類、必要な人数、希望日時など対応に必要な範囲です。
なぜ頼める人がいないのかを説明していただく場ではありません。
ゆき
当日は何を持って行けばいいですか。
たすけ
届書の原本とご本人確認書類です。事務所でご本人と届書を確認してから、必要な証人欄に署名します。ご来所が難しい場合の対応は行っていません。
来所前のチェック
- 証人欄はご本人が署名する欄だと確認する
- 届書の原本とご本人確認書類を用意する
- 必要な証人の人数を整理する
- 希望日時をLINEで伝える
よくある質問
婚姻届の証人欄を自分で書いてもよいですか?
証人欄は証人ご本人が署名する欄です。他人の名前を代わりに書くと届出の内容が事実と違うことになり、電磁的公正証書原本不実記載罪(刑法第157条第1項)や虚偽届出罪(戸籍法第134条)の問題になります。
相手の承諾があれば代筆できますか?
証人本人の署名が求められている以上、承諾があってもご本人が署名する必要があります。個別の取扱いは提出先の市区町村にご確認ください。
代筆は窓口で分かるものですか?
婚姻・協議離婚・養子縁組・養子離縁・認知の5つの届出では、窓口に来た人の本人確認が行われます。確認できなかった届出人には受理した旨が住所地あてに知らされ、事前の不受理申出の制度もあります。
離婚届の証人を自分で書いてしまう人がいると聞きました。
協議離婚の届書でも、必要なのは届出人と成人2名の証人による署名です。証人欄をご自身で書くと虚偽の届出の問題になります。証人が見つからない場合は、第三者への依頼という方法があります。
証人になってくれる人が本当にいません。
親族や友人に限らず、成年であれば証人になれます。当事務所は事務所での対面のみ・完全予約制で、証人代行のご相談を受け付けています。
すでに書いてしまった届書があります。
個別の判断はこの記事ではできません。提出先の市区町村に事実を伝えてご相談ください。戸籍法には訂正の手続も定められています。


